「それでいいよ」ということ
「リップヴァンウィンクルの花嫁」という映画の中に、こんなセリフがある。
「コンビニとかスーパーとかで買い物してる時に、お店の人があたしの買った物をせっせと袋に入れてくれてる時にさ、あたしなんかのためにその手がせっせと動いてくれてるんだよ。あたしなんかのためにお菓子や総菜なんかを袋につめてくれてるわけ、それを見てると胸がぎゅうっとして泣きたくなる」
当時映画館でこのシーンを見た私は、このセリフがめちゃめちゃに分かると思ってめちゃめちゃに泣いた。
人に認めてもらった自分だけが自分ではないのにということをよく思う。
人に自分を認めてもらうと、自分の輪郭はとてもはっきり鮮明になる気がする。
それだけが全てではないのに、他人の目を無意識に気にして、その評価を元にした自分を自分の全てにして疲れてしまったりする。
自分で認めてあげた自分も、間違いなく紛れも無い自分なのに。
自分で自分のことを認めて、大切にできたらいいのに。
「素敵な友達の話より 君の事もっと聞かせてほしい」
と歌うSexy Zoneの「それでいいよ」を聞いた時、真っ先にこの歌詞を聞いて涙が出てきた。
あたしなんかのために買い物したものを袋につめてくれることに泣いていた映画の登場人物と、それを見て泣いたあの日の自分を思い出した。
「それでいいよ」というタイトルの曲が今回のアルバムに入ると知ったとき、でもそんな簡単に「それでいいよ」と言われても「そっか~それでいいか~!!」とはならんぞと思っていた。
全米が泣いた!観客の99%が涙!みたいな煽り文句で宣伝された映画を、泣いてたまるかと見るような気持ちで「それでいいよ」を聞いて、Aメロのこの歌いだしを聞いて、私は簡単に99%の全米になった。
自分で自分の評価を無意識に下げて、それを盾に「しょうがない」で自分を守ったりして、
でも自分で自分のことを唯一褒めてあげたいところに「Sexy Zoneを好きになった自分」というのがある。
私はこれまでわりと、自分が好きなものを相手に伝えることが得意ではなかった。
自分の話をするのが好きではなくて、質問されことをそっくりそのまま同じ質問で相手に返すみたいなことをよくやっていた。
好きの対象から、自分を推し量られることが嫌だったからで、それは結局他人の目に映る自分を守るためだったりした。
「素敵な友達の話より 君の事もっと聞かせてほしい」
POP×STEP!?というアルバムは、極東DANCE(極東はヨーロッパなど欧米から見た日本)という曲がリード曲になっているように、2020年オリンピックが開催される日本の、東京という街とSexy Zoneの今が凝縮されたオシャレでポップなアルバムになっている。
曲を提供して下さっているのがバリバリの攻めを感じられるイカした方々の揃い踏みで、アルバム1枚が洗練されたシティポップといった感じにまとまっていて、
その中に愛とか恋とかの歌が多いのは勿論だけれど、この時代のこれを聞く「あなた」に寄り添うような歌詞がとても多い印象を受けた。
「まるさんかくしかく HAPPYになれるカタチ ひとつ見つけよう 難しく考えなくていい 宝探しをしよう」
「人に怒らず 無駄に焦らず 生きるのは難しいね」
「暗闇こそ自分のこと見つけやすいんだよ」
特に20歳を目前にして初作詞に臨んだマリちゃんのソロ曲であるall this timeなんかは、マジでここに人生の全てが書いてある(バカデカ主語)(だけどこれガチ)
Sexy Zoneを好きでいてよく思うのは、Sexy Zoneのそれぞれ一人ひとりは、たとえば周囲の友達だったり、家族だったり、ほかのメンバーだったり、そして何より自分自身を、ちゃんとしっかり、愛しているなということだ。
人を思いやることは勿論だけれど、自分を自分で愛することは、生きていく度に難しい。
でもSexy Zoneを好きでいることで、私は私を、もっと好きになりたいと思うことがとてもとても増えた。
Sezy Zoneのファンの中で「Sexyだった」「Sexyではなかった」といったように「Sexy」という単語が使われる事が共通認識のようにあって、
これは自分の行いがスマートで美しくて正しいあり方だったかといったような意味で使われているけれど、
自分のことを愛することが、なによりの「Sexy」だなということを、
それがSexy Zoneを応援する上で1番ふさわしい自分のあり方だということを、好きでいる年月の数だけ、積み重ねて思うから。
健人くんがバラエティ番組でイライラしてストレスが溜まったらお風呂の水面を思い切り叩くと言っていたことがある。
「嫌われたくない気にしすぎて ひとりでお風呂で泣いたりして」
と歌う健人くんのパートに、そのことを思い出したりする。
誰にだって上手くいかない日があって、お風呂で泣いたりお風呂の水面を叩いたりする夜がある。
「それでも夜は明けるけれど 君にとってはツラいんだろうな」という歌詞が「ぎゅっと」という曲にあって、明けない夜は無いけれど、明けて欲しくない夜というのは山ほどある。
それでもそういう夜に寄り添ってくれる大切な曲や、大切な人がいたから乗り越えてこれたことを、改めて気づかせてくれたのが今回のアルバムで、Sexy Zoneで、「それでいいよ」という曲だった。
何個でも言えるくらい知ってる
君の素敵なとこ
僕の眼に映る
世界でたったひとつ輝く誇りだから
というサビの歌詞
「君は僕の眼に映る世界でたったひとつ輝く誇りだ」と歌うSexy Zoneが、でもどう考えても、自分の眼に映る世界でたったひとつ輝く誇りだということに泣いてしまう。
何万回の「それでいいよ」の言葉より、私の目に映る世界を輝かせてくれるあなたたちが、なによりの自分の肯定になっているということに胸がいっぱいになってしまう。
まだ君が知らない君に続いていく旅を、
まだ私が知らない私へ続いていくその景色を、
これからもSexy Zoneと見ていけたら良いなと思うし、そう思わせてくれるSexy Zoneが大好きだ。
「それでいいよ」を聞いて溢れてくるたくさんのありがとうのこの気持ちが、だからせめてこちら側からもたくさん伝わって欲しいなあということを思う。
自分のことをもうすこし好きになった自分で握りしめたペンライトの光が、Sexy Zoneにとっての「それでいいよ」になって欲しいとかそんなことを思いながら、今日も延々と収録曲をリピートしてしまう。
「離れてしまっても きみに届きますように」
ツアー楽しみだね!!!!!